生存競争(2) 2008年6月4日ゴールデンウィーク後半の5月第一週、トリの巣から微かなピヨピヨという声が聞こえてきました。 ひなが孵ったようです。ちょうど気温が30度近くまで上がる5月初旬とは思えない真夏並の暑さがニュースになった日でした。 戸袋の中はおそらく30度以上になっているでしょうし、生まれたてのひなは大丈夫だろうか・・と少し心配だったのですが・・ 翌朝、早朝から5〜6羽のトリが巣の周辺をピーピー鳴きながら飛び交い、何やらただならぬ雰囲気が漂っています。 どうしたのだろう・・と、隙間から巣を覗いてみたその時、一羽がひなをくわえてまさに巣から飛び立とうとしているところでした。 ヒナ強奪? あるいは・・・暑さに耐えかねて力尽きたヒナを巣から運び出そうとしているのか? 24時間観察していれば事情はわかるのでしょうが、一体何が起こったのかは定かではありません。 ただ、5月にしては季節はずれな暑さで生まれたてのヒナが力尽きたとしたならば、北極のシロクマが気候変動の犠牲の象徴となっていますが、もっと身近な所で犠牲になっている命がたくさんあることに私達が気付いていないだけなのかもしれません。 それにしても、何らかの異変を仲間がどうやって察知して集まって来たのか。人間には数種類のピーピーという鳴き声にしか聞こえない彼らの言葉ですが、実は早朝のさえずりで、会社での会議報告のように出来事を仲間に伝えているのかもしれませんね。 その後、数日間は親鳥が巣に戻っている気配もなく、巣をそろそろ片付けようかと思っていたのですが、ふと気付くと再び羽音が・・ そして、6月に入ると再びピヨピヨという微かな鳴き声が・・ どうやら第二陣が誕生したようです。と、これまた一体どうやって察知したのか・・再び今度は夜中にドタッ、ドタッという音が・・ またまたイタチの「巣への壁のぼりチャレンジ」が始まったようです。 窓を開け、届かないし・・無理だって!と声をかけるとイタチは去って行きましたが、舌打ちが聞こえたような・・ 果たしてひな達は無事生き残れるでしょうか・・
凶暴化する象
2008年6月10日NHK教育テレビで毎週水曜19時から「地球ドラマチック」というタイトルで、世界の優れたノンフィクション番組を放送しています。 6月4日は「ゾウはなぜ殺し屋になったのか」というイギリス制作の番組でした。 1992年南アフリカ、1996年ケニア、2006年ウガンダと地理的に離れた国々で事件は起こりました。 南アフリカの国立公園ではサイ、ケニアではマサイ族の牛、ウガンダでは人が襲われる事件が起こり、いずれの場合も犯人は象でした。 草食動物で本来おとなしいはずの象がなぜ凶暴化するのか、研究者が背景を調査したところ、象の心の傷、PTSDが原因ではないか、という結論に至りました。 南アフリカの場合、国立公園が作られた際に南アフリカ全土から動物が集められたものの、当時の輸送技術では大人の象を搬送することができなかったため、家族で群れをなす象から子象だけを引き離して移送が行われました。規範とする大人のいない公園で成長した若いオスの象が、サイをメス象だと勘違いして追い回し、逃げるサイに自分の感情を抑えることができずに憤って殺してしまったようです。 その後、輸送方法が発達し大きな象も運べるようになったため、大人の象を国立公園に移送したところ、大人の象に教育されたのでしょうか・・このサイ殺しはピタっと止まったそうです。 ケニアの場合、アンボセリ国立公園が作られた際、立ち退きをせまられたマサイの人々が公園の象徴だった象を殺して抗議しました。 高い知能と記憶力を有する象はマサイの人達にとって牛が大切なことを理解しており、自分達の仲間や家族を殺された復讐として人が大切にする牛を襲ったのではないかと研究者は推察しました。 ウガンダの場合、当時のアミン政権が象牙を取るために大量の象を虐殺しました。この場面を目撃していた象は、その復讐として人を襲ったのではないかと推察されました。 人を襲った象達は、その後襲った人を囲んで砂をかけていたそうですが、これは、亡くなった仲間の象を悼んで同じように砂をかけることから、自分達が人を襲ってしまったが、悪いことをしてしまったということを認識しているのではないか・・・ということでした。 ケニアやウガンダの凶暴化した象達はどのように解決されたのか聞き逃したのか番組で触れられていなかったのか定かではありませんが、いずれにせよ、家族単位で社会生活を営み高度な知恵を有し、本当は穏やかなはずの象が、人によって負わされた深い悲しみを心に抱えて、その復讐をしてしまう・・胸が締め付けられる思いでした。 昨今の人の社会のありようについても深く考えされられます。
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